2016年9月25日日曜日

映画「さざなみ」を観た感想

 ぎゃー!!ホラー作品を観てしまった(決して、ホラージャンルではないんだが)。

いや〜、もうホント、しんどい。どうしよう、このしんどい思い・・・。
 
 


 2015年ベルリン国際映画祭の銀熊賞の女優賞・男優賞をダブル受賞

している作品でもあり、2016年のアカデミー賞の主演女優賞ノミネート作品

でもあることからもわかるが、俳優さんたちの演技が凄いを通り超えて

最早、怖い。

 

結婚45周年を迎える夫婦の月曜日からその記念パーティーが開かれる

土曜日までの6日間を淡々と描いた作品。

 

以下、ネタバレなので、映画を観たい方はここで退場してくださいね。

 

☆☆☆

 

結婚45周年なので、夫婦はお互い退職しており、犬と暮らしている。

子どもは出来なかったのか、作らなかったのかは不明だが

結果として、子はおらず、そのせいもあり、過ごした年月の割には

撮った写真も数少ない。

 

この映画、淡々と描かれているのだが、伏線がすごくて

ひとつの会話、ひとつの小道具などが、ああ、そういう意味だったか!?と

思わせていくことも深いし、怖いんだよ〜。

 

月曜日に夫は妻と出会う前に付き合っていた恋人の遺体が

アルプスの氷河で見つかったとの手紙を受け取る。

 

そこから夫のこころは1962年以前に囚われていく。

 

彼女は死んでいる人間で、今、生きているのは自分で、妻であるのも自分で

45年間という共に歩んだ揺るぎない歴史があり

 

夫に過去、付き合った人がいないなんてことも思わないし

若き日に、しかも自分と出会う前に恋人がいたであろうことは当然で

こころ乱されること自体がおかしいことだと妻も思っている。

 

思っているのだが「この45年間は間違いではなかった。

自分が一番の女である」と確認したいがために妻は夫に問うてしまう。

 

「もし彼女が(山岳事故で)死ななかったら、彼女と結婚していた?」と。

 

男はこういう時、馬鹿なのだ。

YES」と答える馬鹿さ加減。

 

妻は夫が今は存在しない恋人に夢中になっていく様にどうしようもない

嫉妬心を掻き立てられ、夫が彼女との思い出に浸っていた屋根裏部屋に

入り、彼女が写った多くのスライドを見つけてしまう。

 

もう、ここらあたりからホラー度が一気に増すんだが

 

彼女のお腹が大きいということを知ってしまった妻に

彼女はお腹をやさしく包み込みながら、ゆらゆらと妻に襲いかかるのだ。

 

スライドが揺れて波打つように見えるだけなのだが

 

半世紀も前に死んでいるはずなのに、まるで生きているかのよう。

いや、夫の中では彼女は今も、昔も、ずっと生きているのだという絶望感が

妻を襲う瞬間は、相手が死人だけに怖さ倍増なのだ。

 

六条御息所か!?って。

 

私は決して、亡霊の類を信じてはいないが、この大変重要な大勢の人を

呼んでいる正式な結婚45周年パーティーが終わった後ではなく

その直前に「さざなみ」を立てるために、計ったかのように

現れる「女の業」に身震いしたのだ。

 

彼女の若かりし日の写真はあり、自分の若かりし日の写真はない。

彼女には子どもがいて、自分にはいない。
 
彼女は(冷凍保存で)若いままで、自分の顔には皺が刻まれている。

彼女は夫から本当に愛されていたが、自分は本当に愛されていたのか?

 

土曜日、夫は妻に宝石の付いたネックレスをプレゼントし

夫妻はパーティーに向かう。

 

そして夫は泣きながら、衆目の中、スピーチするのだ。

 

「人生で最良の選択は妻と結婚したこと。妻をこころから愛している。

これからも一緒にいよう。I LOVE YOU」と。

 

馬鹿の極致だ。

 

そして、ふたりで記念のダンスを招待客の前で踊るのであるが

 

この辺の主演のシャーロット・ランプリングの表情はすごいの一言。

 

私は殿方の気持ちはよくわからないのだが「人生最高に愛した女A」と

「妻B」がいたとしたら、ABは甲乙つけがたいくらいの大事な存在で

 

ABは同一線上に別ファイルで保管されているような気がする。

 

Aを求めたいときはAファイルを出して眺め、Bが必要なときは

Bをダウンロードするみたいな感じで、そこには欠片の罪悪感もない。

 

女は多分、上書き保存なんだと思う。

 

常に今の自分が大事で、今の自分が大事だからこそ

今の自分が誰よりも最高に愛されていたいという渇望がある。

 

A、男Bという感覚よりも「男Aと付き合っていた綺麗な私」

「男Bと付き合っている幸せな私」というような、自分目線が

強い生き物なんだと思う。

 

やり方は違うが、男も女も自分勝手には違いないのである。

 

自分の知らない、しかも死んでいる女の気配にジワジワと侵食

されながら、45年の人生が音を立てて崩れて行く様を

見せられる恐怖。

自分が70歳を過ぎたときに、夫婦関係がこうなってしまったら

一体、どういう選択をするのだろうかとチラッと考えただけで

クラクラする。

 

私は講演でよく「愛は信頼と尊敬。育てるものです」と語っているが

それは、時間をかけないと育たないものであるのに

一瞬で消し去ることも出来るのだと教えてもらったこの映画は

 

やはり、今年度「ホラー映画」№1 決定である。

 

映画「さざなみ」はもうすぐ上映、終了です。

ご覧になりたい方、劇場へお早めにGO!ですよ〜。

 

 

4 件のコメント:

  1. 夫婦ってホントに難しい。うちの夫はもう精神的に耐えられないからって、家を出ていくことになった。何が耐えられないのかよくわからないんだけど、三女の彼をあまり気に入ってなくて、今後結婚したら家に泊まりにくることとか、そんな男の子を宿した娘が気に入らないとか、そんな娘を育てた私も気に入らないとか、母が弱ってもう長くないかもしれないとか、とにかく我が家は泥船のように見えて、そこから自由に逃げ出したいみたい。出ていく先は裏にある親の家なんだけど、生活費とかは裁判所の基準に基づいていて、結構まじな別居です。
    昨日はレストランで娘の彼が挨拶に来たんだけど、「お久し振りです。来てくれてありがとうございます」と彼が行ったら、夫がテーブルを叩いて「来なくてよかったのか!」と怒鳴って、そのまま帰ってしまった。確かに大人の男性の第一声じゃないかもしれないけど、可哀想だったな。夫はこのまま妻子と縁を切るつもりかな。
    愛してるって言われて、宝石のプレゼントもらえるなら、私だったら過去のこと気にしないけど、それは子どもを育てた実績があるからかな。
    夫婦って難しいね。うちの夫が難しいのか。

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    1. はーこちゃんの旦那さま、結局、敷地内同居ってことなんだね?
      じゃ、介護とかは旦那さまがやってくださるってことで
      逆に良かったじゃん!

      三女さんご夫婦は「互いの信頼と尊敬」の気持ちを
      育てて、幸せになってほしいですね〜。
      親はもう関係ないっしょ?

      アタシなんか、息子がすっごく久しぶりに家に帰るわって
      さっき連絡くれたんだが「ご自分の家なので、いつ帰ろうが
      自由で歓迎しますが、すっごい忙しいので全くお構いできません」
      と言ったら、取り消しやがりました。

      うっすい家族関係ですわ〜〜

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  2. りんこさんの息子さんへの返信に大うけ。
    わたしもその路線で行こう(笑)

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    1. 1年で見ても、家族が揃う時間は10時間くらいって
      ことがわかって、私自身が生きてる内に
      わが子に会えるのは後、何回だろう?って
      ゾッとしちゃうんですが

      まあ、それでも、わが身が寂しいという気持ちを
      抑えつけてでも、わが子の肉体的精神的自由を
      優先させたい一心で戦っております(笑)

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