2016年2月24日水曜日

志高き人から順に去る介護業界

 母のいる老人ホームは子であるアタシが時間をかけて選び抜いたコスパと待遇の

バランスがとても良いところである(そこまで高くない割にはサービスが良い)。
 


施設長、ケアマネ、運動療法士、ナース、スタッフのチームワークがとても良く

施設の方針もとても気に入り、運良く入所の希望が叶った物件である。

 

(施設選びのノウハウなどは拙書「親の介護は知らなきゃバカ見ることだらけ」(ダイヤモンド社)をご高覧ください)

 

それから、丸2年ちょっとの日が流れたが、当初は予想していなかった事態になっている。

 

施設の職員は未来永劫、同じ人たちではないのだ。

つまり、転勤もあれば退職もある。

メンバーが変わるのである。

 

なんでこんな当ったり前なことに気が付かないんだろうか、自分。

アホすぎる。

 

入所当時からスタッフの入れ替えはちょいちょいあったのだが、あまり気にして

いなかった。

 

ところが昨春に施設長、転勤。

晩夏にケアマネ転勤。同じく運動療法士辞職。

 

この後、雪崩現象が起こって、10人くらいが一気に入れ替わった。

 

「介護は人」なので、雰囲気も随分と変わってしまった。

 

今や入社3年めにあたる20歳の子がベテラン枠の上から3番目なんだそうだ。

 

つまり正社員が極端に少なくなったと言える。

これは何を指すのかと言えば、夜勤をする人が足りず、従って、夜勤のローテーションが

鬼のように回ってくるということになる。

 

用事があって、夜と言える時刻にホームに行ったら、懇意のスタッフさんが夜勤を

していたので、少し話をした。

 

するとそのスタッフさん(20代後半)がこんなことを言ったのだ。

 

「なんか(不規則過ぎて)もう命を削りながら仕事してるって感じで、自分の寿命は

短いだろうなって思ってるんです」

 

えーーー!?限界5秒前!?って感じですか?

あなたに辞められちゃうとアタシが困るんですけどぉ?

 

と必死に止めたが、考えてみれば平均年齢90超の施設で20代の若者が死にそうになっている。死ねない年寄りと、死にそうな若者。

 

そうこうしている内に頼りにしているスタッフさんがまたひとり辞めた。

 

理由を聞いてみたら、以前のように介護に情熱を注げなくなってしまったということだった。

 

そのホームからは湘南界隈の花火が見渡せる。

もちろん、地元の花火大会は大盛り上がりなので、施設で花火観賞大会を実施してくれるんであるが、他の町が実施する花火も見ようと思えば見えるのだ。

 

それで、そのスタッフさんは会議の席上、他の町主催の花火も屋上で見物する会を作りましょうよと提案したらしい。

 

しかし、賛同者は皆無。

出た答えは(人手が足らないので)怪我人を出すリスクがあるので認められないというものだったらしい。

 

「ほんのちょっとの手間で入所者さんたちに喜んでもらえるんですよ。

単調の毎日でも、そういうことが少しだけでもあると入所さんの笑顔が見れるじゃないですか?その笑顔が見られたら、私も嬉しいし、仕事、頑張ろうって思えるのに、賛同者は

ひとりもいないんです。

それは怪我につながりかねない。ヒヤリハット(事故未遂件数)を防止しなければ。

つまり、ただでさえ人手が足りないのに、余計な仕事、増やすな!ってことです」

 

基本、スタッフが退職などでホームを去る際も「お別れのご挨拶」はない。

入所者さまの「不安」に繋がるからだそうだ。

 

モチベーションが保てないと言っていたそのスタッフさんが退職することは知っていたが

いつだかがよくわからなかったのでお世話になったのにお別れも言えなかった。

 

母などは認知症が出ていないにもかかわらず知らされないので「あれ?そう言えば、あの方、見えないわね。ご病気じゃなければいいけど…」ということを言ったりするので、確認すると「辞めました」ってことになっている。

母こそ、御礼も言えず、心残りだろう。

 

今、ホームは派遣の職員の方が多い。

派遣スタッフが悪いのではなく、極めて短期間の契約だということが悪いのだ。

2ヶ月とか3ヶ月で入れ替わるので、顔を覚えたと同時に去って行く。

 

「(正職員の)求人は出しているんですが、人が来ないんです!」とは施設側である。

 

私は介護職を準公務員扱いにして、給与と手当と年金系を公務員並みに保証したらどうなんだろうと思っている。

 

財源などの問題があるのだろうが、例えば、財産を残して死んだ年寄りの相続税の一部は

介護職員給与に回すとか、相続税を筆頭とするあらゆる税金に「自分はこういうところに使ってほしい」という希望が叶う制度にするとかで、無理やりにでもお金を引っ張って来ないと、劣悪な介護はドンドン増えるだろう。

 

年寄りに3万円配っている場合ではないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

3 件のコメント:

  1. まったく…3万円配って何になるのでしょう?
    (自民党の票ネライ?)
    国は、在宅介護押しのようですが
    実態を見てないですよね。

    どのように介護をして
    どのような最期を迎えさせてあげられるのか

    常に考え悩み

    時には、親より先に死んじゃうかも…
    と折れそうになったり


    ちゃんと死なせてあげる
    つらいけど、重要な問題だよな。
    両親を看取っての思い…です。

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  2. 介護職を準公務員並みに。全く同感です。少子高齢化がもう来ているのに、介護に携わる人の待遇が悪すぎます。結婚したら食べられないので寿退社するとか、ありえないですよね。
    私の三女は3月に看護学校を卒業して、国試に通っていたら、4月から田舎の国立病院に勤めます。田舎でアパートないので、官舎があります。三女には彼氏がいて、看護学校の同級生で、彼は関西の大きな病院に勤める予定です。こっちは都会すぎてやっぱり宿舎があります。
    介護に携わる人にも、それくらいの福利厚生がなければ、若い人が定着しませんよね。高齢化はわかっていたのにねえ。

    うちには93歳の母が同居してて、病院には連れていくけど、日常生活は自立してます。うちから車で10分くらいのところに、内科・整形外科・脳神経外科・歯科があって、そんなに混んでないので、そんなに手遅れにならない。在宅介護するなら、病院があることは必須ですね。たらい回しとかとんでもない。

    高齢者と若い人が辛い思いをする、こんな社会保障はなんとかならんかと思うけど。やっぱり財源が問題なんですかね。

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  3. 介護士の公務員化、賛成です。
    そうじゃなきゃ良くなるはずありませんよ。
    二十歳でベテランとか怖いです。

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