2016年1月6日水曜日

異文化体験 その1 バリには苗字がない


 異国に行くと良いことのひとつにカルチャーショックがある。

自分が「常識」と思い込んでいたことは、別の世界では全く通用しないという

ことに気付かされる。
 
 



 

これを体で「知る」ことは得難い経験で「絶対的に正しいことはこの世にひとつもない」

という己の小ささを思い知ることになり、相手の立場に寛容になるということに

繋がると思う。
 

若いときに海外に出ろ!とは昨今、よく聞く話だが、オバサンであっても

「ああ、なるほどなぁ、世界は広い。自分は小さい」と実感できることは素晴らしいなと

いう思いに至る。
 

バリではサーファーの高橋由果さんに色んなところに連れてってもらったんだが

彼女にはお嬢さんがいらして、ハーフなんである。(ハーフってなんで可愛いんだろうな?)

http://www.surfing-photo.net/newpage31.htm   ←由果さんのサイト

 
そのときにアタシはそのお嬢さんのお名まえとか、名まえの由来とかを聞いていたんだが

何の気なしに「フルネームはなんていうの?」と言ったわけだ。

 

そうしたら、彼女が何やら長いカタカナを口にしたので、聞き取れなくて

「え?どこまでが苗字なの?」って聞き直したんだな。

 

そうしたら、由果さんがこう言ったから、ぶったまげたのだ。

 

「バリには苗字がないんです」

 

はい?ファミリーネームがないって、アンタ、今、長々、なんか唱えたじゃん!?

 

例えで言うならば「Ni・Made・Rinko・Angel」みたいになるんかな。

 

アタシの心もとない理解によるので、本当に合っているのかまでは保証できないんだが

 

大まかに言ってしまうと1番始めに「カースト制に分かれた男か女かの表示」が来て

これが、女性の場合だと「Ni」に当たる。

 

その次に何番目に生まれたかの表示(例えで言えばMade=2番目)が来て、

 

3番目に親が付けた日本で言うところの「ファーストネーム」が来て、最後に愛称が来るみたいだ。(エンジェルって書いたのは、例えだよ、例え!洒落なんだから怒るな!)
 

つまり女性の名まえは4段階で構成され、男性は愛称を付けることが多くないみたいなので3段階で止まるようである。
 

ちなみに名まえしかないので、パスポートには「名まえ」の欄にすべてを記入すると

いう話をどっかで聞きかじった。

 
途中で男性から女性に変わったなんて場合は一番最初から変えないといけないのかな?とか要らん心配が頭をかすめる。

 
そして、そっか、カーストがあるのか!と新鮮な驚きである。
 

このカーストは大きく分けると4段階になるらしい。

ブラフマナという司祭が最上位、ご存知クシャトリアが王族、ウェイシャが騎士のようなご家庭だそうで、バリ人の大多数は最下位のスードラ階級なんだそうだ。
 

女性の場合だと最上位の人の名まえの一番最初は「Ida Ayu」になるんだそうだが
 

もしも「井田あゆ」さんがバリ島の人の元に嫁ぐとしたら、ややこしくなるなと

またしても要らん心配をした。

 
しかしながら、圧倒的多数が男性ならば「Iさん」で、女性ならば「Niさん」で

名まえが始まることになる。
 

日本で言えば、苗字がないのは宮様だけなので「徳川さん」とか「松平さん」とかだと

「やんごとない?」とテンションが上がるだけだが、名まえを聞いただけで階級がわかってしまうのは「なんだかなぁ」って気持ちもし、実際にバリの人も「なんだかなぁ」って

思うことがあるんだそうな。

 
次に不思議なのは「何番目に生まれたか?」が来るんだそうな。

第一子だとPutu Wayan Gede っていう名まえが付くんだそうで、そうなると

そこらに「ワヤン」さんは溢れるわけで、しかし親も「ワヤン」と呼んだりするんだそうで

日本で言うところの「お兄ちゃん」に当たるのかな?って思ったりした。

 
これは第4子までは決まった型があるようで、第5子はまた一番目に戻るんだそうだ。
 

つまり「この人長男なのね」って思っていたら、実は5番目ってことも有り得る

ということになる。

 
これはアタシ的には大いに推奨したいところである。
 

最初から3男狙いってことも出来るってことを意味するからだ。

(まあ、今の日本はほぼ長男で埋まっているが・・・)

 
以前、泣く子も黙る「栄光学園さま」のOB名簿を拝見させていただいた

ことがあったが、最終学歴やら勤務先やら役職やらご実家やらのご住所が掲載されておる

よだれものの名簿で「これだけで飯が5杯は食えるな!」と悦に入ったものだったが

 
そのときに「栄光さま」にアタシはこう言ったのだ。
 

「これにさぁ、長男だとか、トメとの同居の必要ありみたいな印も載せてくれてたら

最高なのに!」

 
栄光さまは苦笑する以外なかったが、つまり、バリでは名まえを聞いただけである程度

その人の背景がわかるってことなんだな。
 

由果さんによると「階級を超えた恋愛」もなくはないということだが、かなりの

苦難を伴う恋になるようなニュアンスを感じた。

この場合、婚姻したとなると階級の高い方に名まえが進化するようだ。

 
しかし、9割以上が同じカーストらしいので、途中までは同じ名まえって人で溢れる

と思うのであるが、同じ名まえで被ったってときに、臨機応変に親の付けた名まえまで

呼ぶとか、或いはフルネームで呼ぶとか、そんな感じで使い分けているみたいだった。

(女性は親しくなると愛称が優先されるようだ)
 

苗字がないので、日本で先ごろ判決が出た「男女別姓問題」を由果さんに説明してみたが

「バリ人にはピンと来ない」というような感想を受けた。
 

「何々家のために」みたいな「家制度」の考え方がないんだそうだ。

基本、親との敷地内同居であるそうだが(親の棟、長男一家の棟、次男一家の棟、台所、トイレ、お風呂場みたいに建っている。50年前の田舎の日本と同じである。

女の子しか生まれなかった家はダンナさんが養子的に嫁親との敷地内同居をするんだって)
 

そこに「○○家を絶やしてはいけない」みたいな発想がないそうで、

次回、綴る「墓問題」もその基本理念が大きく関係するようである。

 
名まえ、たかが名まえ、されど名まえで何とも世界は広く、奥深いものだと

感動した。

 

 

 

 

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